予想サイトにクーリングオフは適用される?通信販売の例外を解説

監修:松本理平弁護士

この記事の結論

  • ウェブやLINEで申し込む予想サイトの契約は通信販売にあたるのが一般的で、クーリングオフは原則使えません。
  • 代わりに、最終確認画面の誤認させる表示や断定的な勧誘があれば、特定商取引法や消費者契約法による取消しを検討できます。
  • 電話で勧誘されて契約したなら電話勧誘販売としてクーリングオフの対象になりうるため、勧誘の経緯を整理して相談します。

予想サイトに高額な情報料を支払った後、「クーリングオフで解約・返金できないか」と考える方は少なくありません。しかし結論から言うと、予想サイトのようにウェブサイト経由で申し込む契約は、特定商取引法上「通信販売」に区分されることが多く、原則としてクーリングオフの対象外です。ただし、クーリングオフとは別に、契約を取り消せる可能性のある制度は存在します。この記事では、クーリングオフの仕組みと通信販売が対象外である理由、代わりに検討できる手段を整理します。

クーリングオフ制度とは

クーリングオフとは、特定商取引法が定める一定の取引類型において、消費者が理由を問わず無条件で契約の申込みを撤回・解除できる制度です。書面(電磁的記録を含む)を受け取った日から起算して、多くの取引類型で8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引では20日間の期間内であれば行使できます。対象となるのは主に次の6類型です。

  • 訪問販売
  • 電話勧誘販売
  • 特定継続的役務提供(エステ・語学教室等の一部の継続的サービス)
  • 訪問購入
  • 連鎖販売取引
  • 業務提供誘引販売取引

通信販売はクーリングオフの対象外

特定商取引法は、通信販売についてクーリングオフの規定を設けていません。訪問販売や電話勧誘販売のように事業者から不意打ち的に勧誘を受ける取引と異なり、通信販売は消費者が自らの意思でウェブサイト等を見て申し込む取引であるため、無条件解除権までは認められていないと説明されています。予想サイトの多くは、ウェブサイト上の申込みフォームやアプリを通じて契約が成立する形態を取っており、この「通信販売」に該当するのが一般的です。

クーリングオフの代わりに検討できる制度

1. 通信販売の返品ルール(特定商取引法15条の3)

通信販売では、事業者が広告等に返品特約を表示していない場合に限り、商品の引渡しを受けた日から8日以内であれば、消費者負担の送料で契約の申込みの撤回・解除(返品)ができます。ただし、これは主に「商品」の売買を想定した規定であり、予想サイトのように情報提供という役務(サービス)を内容とする契約には性質上なじみにくい場合があります。また事業者が「返品不可」等の特約を表示していれば、その特約が優先されます。

2. 誤認表示による申込みの取消し(特定商取引法12条の6・15条の4)

2022年6月施行の改正特定商取引法では、通信販売の最終確認画面等で消費者を誤認させる表示(分量・価格・支払時期等について誤解を与える表示)を禁止する規定が新設されました。この規定に違反する表示によって消費者が誤認して申込みをした場合、消費者は申込みの意思表示を取り消すことができます。「無料」や「お試し」という表示の後に、実際には高額な有料プランへの申込みになっていたような場合が典型例として想定されています。

3. 消費者契約法に基づく取消し

事業者が契約の勧誘に際して、重要事項について事実と異なることを告げた(不実告知)、将来の的中を断定的に告げた(断定的判断の提供)などの事情があれば、消費者契約法に基づき契約の申込み・承諾の意思表示を取り消せる可能性があります。「必ず当たる」といった断定的な表示で契約を誘引された場合が該当し得ます。

クーリングオフと取消しの違い

比較項目クーリングオフ取消し(消費者契約法等)
行使できる理由理由を問わず無条件誤認・断定的判断の提供等、法が定める要件が必要
対象となる取引特定商取引法が定める特定の6類型(通信販売は含まれない)要件を満たせば通信販売を含む契約全般
行使できる期間書面受領日から8日間または20日間誤認等に気づき追認できる時から1年間、契約締結時から5年間
効果無条件での解除。違約金や損害賠償の請求なし契約の取消し。ただし要件の立証が必要になる場合がある

クーリングオフが「理由を問わない無条件解除」であるのに対し、取消しは「誤認や断定的判断の提供があったこと」を主張・説明する必要がある点が大きな違いです。断定的な的中表示があった場合の返金請求の考え方は、競馬予想サイトへの返金請求は可能か 条件と進め方を解説でも詳しく解説しています。

取消し・返金を検討する場合の進め方

1. 契約時の表示内容を保存する

登録時の広告表示、最終確認画面、断定的な実績表示などをスクリーンショットで保存します。事後に表示内容が変更される場合があるため、早めの保存が重要です。

2. 運営者へ申し入れる

特商法表記の連絡先へ、取消しを求める理由(誤認させる表示があった等)を明確にして連絡します。応じない場合は決済方法に応じた窓口や公的機関への相談を並行して進めます。

3. 専門家に見立てを相談する

自分の契約が取消しの要件に当てはまるかどうかの判断は難しい場合があります。弁護士に相談する際の流れや費用の考え方は予想サイト被害を弁護士に相談する流れと費用の目安を参考にしてください。相談前に準備しておきたい経緯の整理については相談前に確認しておきたい事項もあわせてご覧ください。

契約前に確認しておきたいポイント

クーリングオフが使えない前提に立つと、契約前の見極めがより重要になります。断定的な表現や虚偽実績など、悪質な予想サイトに共通する特徴は悪質な予想サイトに共通する特徴と登録前の確認ポイントで確認できます。特に、最終確認画面に表示される総額や支払回数、解約条件を申込み前によく確認する習慣が、取消しが必要な事態そのものを避けるうえで有効です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 予想サイトの契約書面に「クーリングオフ可能」と書いてありました。

A. 通信販売であっても、事業者が独自にクーリングオフに相当する返金保証を設けている場合はその契約条件(自主的な特約)に従うことになります。書面に記載された条件をよく確認し、記載どおりに対応してもらえない場合は消費生活センターに相談してください。

Q2. LINEでのやり取りだけで契約した場合も通信販売になりますか。

A. LINEやウェブサイト上の申込みフォームを通じて契約が成立した場合は、通信販売に該当するのが一般的です。ただし、事業者からの電話勧誘がきっかけで契約した場合は電話勧誘販売に該当し、クーリングオフの対象となる可能性があります。勧誘の経緯を整理して相談時に伝えてください。

Q3. 取消しを主張しても運営者が応じません。

A. 取消しの意思表示をした記録(内容証明郵便等)を残したうえで、消費生活センター(電話188)や弁護士への相談を検討してください。決済方法に応じてカード会社等への相談も並行して進められます。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の契約についてクーリングオフや取消しの可否を保証するものではありません。具体的な判断については、消費者庁(公式サイト)、消費者庁の特定商取引法ガイド(通信販売のページ)、国民生活センター(公式サイト)にご相談ください。